女の子も大変

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イケメン一人で、空気が変わるというのは本当らしい。

私はこの目でこの肌で痛感した経験がある。

 

高校生のある日

私たちのクラスは女子が大半を占め、ワイ談や下品としか言いようがない言葉が飛び交っていた。色で例えるなら塒を巻いた深緑と言ったところだろう。

 

数少ない男子は、もはや男子ということさえ忘れられ彼女たちの陰でかすかに息をしていた。

着替えも同じ部屋で行なっていたし、クラス内カップルどころか3年間噂一つも立たなかった。

 

そんな私たちにも意識する男性が存在した。

隣のクラスに、とびきりのイケメンがいたのだ。

「朝M君とすれ違っちゃった、もしかしたら目があったかもしれない、私のことを見て微笑んでいたのかもしれない、どうしよう!!」

「もしM君が彼氏になったらどうする?ずっと彼を見てられるんだよ、幸せだよね。まだ名前さえ覚えられてないけれどさ。」

そのM君が体育のために着替えているなどという情報を手に入れれば、友人と共にさりげなく見に行ったりしていた。

 

そんな彼が一度だけ、私たちのクラスに訪れたことがあった。

「あの、Y君いますか?」

後ろのドアに現れた爽やかな彼に、クラスの女子は一斉に停止し

瞬時に色めき立った。

 

「あら、Y君なら前にいますよ。どうぞ。(ウフフ」

塒を巻いた深緑の沼に生息していた彼女たちが、一瞬にしてピンク色のフェロモンを出し

あたかも前からここはお花が咲き乱れる地上の楽園ですといった雰囲気を醸し出し

彼を迎え入れたのだ。

 

彼女らの動きは、いつもよりもゆっくりになり指先にまで女を演出していた。

 

あの瞬間の女たちを忘れない。

一瞬にしてここまで空気を変えられるとは、イケメンの力は侮れない。

また、女の本性を垣間見た気がした。

 

彼が去った後、もちろん私たちは彼の話題で持ちきりになり

「いやあ、まさか彼が来るとはね、それにしても国宝級の笑顔だったね、抱かれたいね、一度でいいからさ。いや、抱かれたいまで要求しないからさ、名前くらい呼んでほしいよね。それだけで十分生きていけるからさ。はあ、イケメンは正義だ。」

 

あのピンクの何かはどこにいったのだろうかというくらいに、素早く彼女たちは塒を巻いた深緑の沼の住民に逆戻りしていた。

 

女は瞬時に女を演出できる。

それは彼女たちの意思とは関係なしに、男の気配を感じると嫌でも女であろうとするのだ。

 

清楚系が男子にモテるというのは周知の事実だが、男子諸君はきちんと見極めなければならない。女はいつでも女を演出できるのだ。

清楚系で純粋そうに見えた彼女が付き合ってみたら、あら大変、超ビッチな過去を持っていたなんてこともざらである。

 

男性諸君が思っているような理想な女性というのは本当に稀だ。

なので、変な理想を持たないでほしい。

その理想とのギャップに苦しむのは男性だけではない。

女性だって、男性の理想に合うように生きているが、あまりにも女子への理想がしっかりしていると疲れてしまう。

 

女の子はフローラルな香りがするだとか、毛が生えないだとかそんなのは全部嘘である。

嘘であることを知った上で女性を見てほしい。

そうすれば女性も変に気を使わず、男性も変に失望せず済む。

髪の毛にも化粧にも気を使ってネイルまでキラキラにしても、指の毛を見て幻滅されたなど言われたらたまったもんじゃない。

 

そう言いながら今日も私は指の毛を処理するのだ。

女も大変な生き物である。

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