私の彼は世界一

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私の彼は世界一である

というと自慢に聞こえるかもしれないが

不思議と自慢に思われたことがないのは

私の彼があまりにも普通の人であるからで

友人たちも彼の人となりを知っているために

私が彼の自慢をしても、あまり自慢めいて聞こえないのである

 

私はあまりにも普通の人である彼を好きになって

恋い焦がれて食事に誘い、あれから三年と少しの月日が流れても

普通の人である彼が大好きなのである

 

しかし、普通の人である私の彼は

私にとっては世界一の彼氏なのである

 

まず、自分のことを普通だということを自覚しているところが良い

いつでも等身大の自分を貫いていて芯がある

それに彼は思っているよりも向上心があり、並大抵の人ではない

努力は人一倍、それを決して他人には見せない、私にさえも

新卒で入った会社ではエース候補として注目されている

堅実で倹約家で、これ以上になく優しい

会社で問題が起きても何か嫌なことがあっても自分で処理ができる

だから感情的に接して来ることはなく、いつでも彼は彼である

 

恋人としても世界一である

食事に関してのこだわりは凄まじく、月に一度は美味しい焼肉屋さんに連れて行ってくれる

私のことをニコニコして見つめて、いつも「そんな君が好きだ」と言ってくれる

決断力はピカイチで、これと決めたらすぐ行動に移してくれる

入りづらい、少し高級な店にも彼は意を決して門をくぐる

性格がとても穏やかであるので喧嘩したことはほとんどない

私の愚痴にもちゃんと向き合って同調してくれる

クリスマスにはいつも横浜の名の知れたホテルに連れて行ってくれるし

私の誕生日も絶対に休みを取って、海の見える少し高級なホテルに連れて行ってくれる

 

一方、私は彼がそうなったのは私のおかげであると自負している

彼にしてみれば、自分が努力してきたものを勝手に自分の手柄にされて不愉快だろうが

彼のそういった素質を見出して、私が彼を世界一の彼氏に仕立て上げたのである

 

私は自分のことを普通だと思うのも、社会の歯車になるのも受け入れていない

いつも感情で動くために、気分の浮き沈みが激しい

一見穏やかそうで何も考えていないように見えるけれど、心の中では人を殺している

愚痴を吐けばいつまででも途切れない

衝動買いはしないが、お金の管理はずさんである

しかし、なぜか自信だけはあるのである日突然「私は就職せずに、自分の好きなことだけをして生きて行きます、どうぞヨロシク」と言い出す

他にお気に入りの男の子を見つけて仲良く遊んでいる

それを逐一彼に報告してキャッキャしている

 

考えれば考えるほど、こんな彼女は欲しくない

いつかは愛想を尽かされそうであるが、それも思わない

彼は不思議にもそれを全て受け入れてくれているのだ

「そのままでいい」と言ってくれる

私のどこに魅力を感じているのかわからないが

「自由なところが好きだ」と言って頭を撫でてくれる

 

ふうん、そうかそうか彼は私のことを愛している

というのがひしひしと伝わって来る

そして私も彼のことを愛していることに薄々気づいている

いや、愛しているのは間違いない

 

愛という言葉を簡単に口にするのはいささか軽率であるように感じる

初めて「愛している」と言った時の胸のざわめきは

「愛している」のタイミングを間違っていないかと

ヒヤヒヤしていたせいもあるのかも知れない

 

三年付き合っていても、「愛している」というのは毎度軽率に聞こえる

かと言って好きなだけではない、この感情をなんと表現すればいいのだろう

多分、私は愛というものの全部を知らない

家族から底知れない愛情を受けて育ってきても

愛というものが頭では整理できていない

心だけで考えれば、私は彼を愛しているのだけれど

これが一体全体「愛」という壮大な言葉に置き換えて表現していいのかはわからない

 

22の若者が愛について語るなどと言うのも生意気な気がしてならない

それも「愛してる」が恥ずかしい理由の一つだろう

 

それでも今のところ、「愛」という言葉以外にこの気持ちを表現できないので

とりあえず「愛している」と言ってみる

いつか「愛している」と言っても心がざわつかなくなる日が来るだろう

そうしたらきっともっと素直に「愛している」と毎日言おう

 

言葉の力は計り知れない

愛が当たり前になっても、「愛している」と言い続けよう

慣れてしまっても「愛している」と口に出そう

それが愛を育む一つの栄養剤になると信じている

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