したたかに、そしてしなやかに

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JK時代は恋愛をしてなんぼである。

JKになる前から、恋愛体質だった私はJKになってからはそれに拍車がかかり

盛りのついた猫のように、飢えた目で男子高校生を見つめていた。

 

飢えに飢えていたのは私だけでなく、周りの友人も大概そうであり

37人中34人が女子という私のクラスには、いつもワイ談が飛び交っていた。

体育着が散乱し、ロッカーの上には教科書が積まれ、誰のかわからぬ靴下が転がっていた。

 

男子の目などは皆無であったために、私たちはどんどん野生化していった。

それでもクラス目標は”おしとやかに美しく”だったため、廊下を出ればしゃんと胸を張り、スカートをひらひらさせていた。

うわべしか知らない他のクラスの男子生徒は「やっぱり音楽科は違うなあ、気品があるなあ」と思っていたに違いない。

 

ほとんど男子と接点のない高校生活だったため、私はちょっとでも仲良くなるとすぐ好きになってしまうという体質になった。

仲良くなるどころか、目が合えば好きになった。

声を聞けば好きになった。

男性というものを見るだけで心が踊りまくった。

あの時が乙女のピークであった。

 

早起きが嫌いな私が、あの3年間だけは早く起き髪を巻くのに10分もかけていた。

くるくるのロングヘアーをなびかせて登校していたが、犬さえも振り向かなかった。

そんなことはどうでもよい。彼が振り向いてくれさえすれば。

 

私は計算高い女であるために、彼の登校時間を調べあげ毎朝トイレで待ち構えていた。

そして鏡ごしに彼が来るのを確認すると、あら偶然っという面持ちで右手を上げ挨拶を交わしていた。

毎朝トイレから出てくる女は、彼のクラスの時間割も知っていたため、体育の前の休み時間にはさりげなく教室の前を通り過ぎ着替えを覗いていたのだった。

 

そんな努力もむなしく、3年間私には彼氏ができなかった。

虚しい。悔しい。

やっぱり可愛いあの子がモテるのかっ!!

憤りが収まらぬ。

あいつは確かに表では無邪気に振舞っているが、腹の中では男を手玉に取りニヤニヤしているに違いないっ。

くそっ!可愛くなりたいっ!

私も男を手玉に取りたいっ!!

 

結局手玉になど取れず、いつも手の内で転がされる女である。

女子と男子の両方の人気を勝ち得るのは難しい。

女子に好かれようとすると、男子からは恋愛対象外にされてしまう。

かと言って男子に好かれようとすると、女子から冷たい目線を浴びる事になる。

つまりは、両モテは不可能なのだ。

 

「女子にも男子にも好かれるあの子の特徴5つ」などという記事を私は何百も読み漁ってきた。

もちろん「あの人を振り向かせる方法3つ」や「これが当てはまったら両思い」等々、毎日読んでいる。

役に立った試しは、ない。

 

結局、可愛い子がモテるのだ。

可愛いは正義なのだ。

 

化粧品を一年も買っていない私は、どうすればよいのか。

流行のリップは、今では時代遅れなのに全然減ってくれない。

モテる方法をググるより先に、可愛くなる努力をするべきである。

ジムに行って汗をながせ、半身浴で汗を流せ、デトックスデトックス。

 

それができないからこうやっていつまで経っても、あの頃の私のまま。

でも5年も経ったんだし目標くらいは変えようか。

「したたかに、そしてしなやかに」

 

スカートの裾が少し笑った。

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