女の勘

女の勘は鋭い

世の中のオノコたちよ、なめてかかるなこの威力

女はいつでも目を光らせ、五感を研ぎ澄まし

いつ来るかもわからぬそれに備えているのである

 

私も例に漏れず、勘の鋭い女だと思っていた

しかし、カラカラ空回りする私の恋路はいつも違う方向に目を光らせていた

「きっとあの子、彼に興味があるのよ。見張ってなくっちゃ」

「彼ったらいつもあの子のこと見ているような気がするわ、あの子のこと好きなのかしら」

 

恋する私はいつだって、女にも相手のオノコにも目を光らせ

双方にあらぬ疑いをかけては、一人想像する夜を過ごしていた

 

しかし、だいたい私の勘は外れる

彼に興味があると思っていた女の子は全く別の人と付き合うし

あの子のことが好きだと思っていた彼は全く別の人が好きだという

 

そしてだいたい、想像もしていなかった人が恋仇だったという展開になる

 

私は好きになるとすぐに公表したがるタイプである

「私は彼のことが好きなんですっ」と大声で宣伝して歩くのである

そういう女は、私以外にあったことがないのであまりいないのであろう

皆、奥ゆかしき女性なので好きになっても、そう簡単に秘密を暴かないのである

 

しかしこれは大変に損な性質である

「あぁ、彼をどうやってご飯に誘おうかしら。ちょっと駆け引きしてみよう」なんて考えているうちに私みたいなのが彗星の如く現れ、その彼をかっさらっていくのだ

そうして涙を流した女性を何人か知っている

大体において、いつも後から知るので全く悪気はないのだけれど、相手の女性からしたら私は憎ったらしくてしょうがない女であろう

 

中学生2年の時、憧れの先輩と付き合った私の元にある女の先輩がやってきた

その女の先輩は、可愛くて優しくて大好きな先輩だった

その先輩が教室に現れて私を呼ぶ

「さくらちゃんって、彼と付き合ってるの?」

何も知らない私は「そうなんです、告白したらなんとOKだったんですっ!!」と答える

そして数日後に彼から「実はあの子から告白された」と聞かされ青ざめる

知らなかった。だってその先輩、生徒会長が好きだって言ってたじゃんかっ

彼ももっと早く言ってくれればいいのに、全くもったいぶって

 

高校2年生の時、別のクラスの男の子を好きになった

運よく、友人がその男の子と友達だったために色々と情報を聞き出すことに成功した

そして私の誕生日に彼に「誕生日プレゼントとしてあなたのラインを頂戴っ」とお願いしたら、彼は「じゃあ、彼女に聞いといて」とその友人の名を言う

従順な私はすぐに彼女に「彼のライン頂戴っ」とせがみ、やっとの事でゲットしたそのライン

数ヶ月後私は彼に振られるわけだが、彼はその時「実はあの子からも告白されて、君の誕生日の日に。断ったけど」とのたまう

はぁ、私の誕生日の日、彼女は笑顔で私に彼のラインを教えてくれたのだ

なのに裏では彼に告白し、自分のものにしようとしてたのか

女というものを信用できない

そしてそれに全く気付かずにその友人を付け回していた私も無神経極まりない

そしてあのオトコ、振った女からラインをもらえなどとよく言えたもんだホント

友達だって言ってたじゃん、もうこれだからオトコとオンナは

彼ももっと早く言ってくれればいいのに、全くもったいぶって

 

大学2年生の時、サークルの先輩を好きになった

例に漏れず、彼への好意を大きく宣伝して回った

その裏では目を光らせ、彼に近づくオンナを監視していた

のちにこれは全て私の妄想だと判明し、恋する私の迷惑を被った友人たちには頭が上がらない

それでもやはり彼とめでたく付き合ってすぐ、ある人が「さくらって、彼と付き合ってるの?」と聞いてきた

何も知らない私は「そうなんですっ、もう嬉しくって」と答える

そして数日後に彼から「実はあの子から……」

 

ああああ、もうミナマデイウナ

いつもこうなんだからっ

彼ももっと早く言ってくれればいいのに、全くもったいぶって

 

いつだって、全く予想してなかったところに恋仇がいるのだ

彼女たちは奥ゆかしく、誰にも恋心を秘密にして、彼を狙っていたのだ

何も知らない私は、全く見当違いなところに目を光らせて鋭く追及して、アホみたいじゃないか

大体オノコたちも、もっと早く言ってくれれば私だってちょっとの遠慮とか配慮とかできたのに

いつだって言うのが遅いから、知らず知らずのうちに憎まれることになっていた

 

しかし面白いことに、私が女から恋仇に思われることはない

「あの女は、まぁ、ないだろう」となるのか

不名誉だが、変な誤解をされるよりマシである

 

女の勘は鋭い

私が思っている以上に、世のオノコが思っている以上に

恨まれぬように、憎まれぬように渡っていかなければ女社会では生きていけない

いつか私にも人並みの勘がつきますように

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