鴨川の海に

朝焼けの海が見たいから、旅館の厚いカーテンを開けて眠りについた。

朝日が水面を照らす時、深い眠りから覚められるように。

トイレに立つついでにそれを写真に収めるが、切り取られた画面の中では感情は波立たないので、頑張って朝焼けの海を見つめるけれど、どうしても瞼が重くて、海に顔を向けたまま二度寝してしまうので、変に肩が凝ってしまう。

海が唸り声をあげて夕方のビーチに押し寄せている。

その声が予想よりも大きいので、私は怖くなってすぐさまビーチから退出した。

6年前に聴いた波の音は、もっと涼しげに、暗闇の中を駆けていたはずなのに。

旅館へ帰ると今度は耳をすまさなければ聴こえない。

「あ、波の音」などと言っても、通り過ぎたバイクの残響だったりする。

刻々と変わり続け、そして変わらないもの。

海にさよならをして、私はここに戻ってきた。

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