朝帰り

この風の香りを嗅いだのは

今朝だったか

それとも遠い昔に忘れた春の日か

 

雨に濡れた葉と土の香り

春の兆しに輝いて

 

どこからか漂う花の香

知っているようで知らないその香り

大きく吸い込んで消えた

 

いつかまた嗅ぐだろうか

その時は今日のことを思い出す

 

最後の朝帰り

銀杏並木に誘われて

澄んだ青い空に別れを告げた

この春の日を

好きなんですあなたのこと

彼を見た途端に

甘い何かが溶けていくのを感じる

 

心がほぐれて

ホッカホカという感じだ

 

「はぁ」と体の力が抜けて

その途端に恥ずかしくなって

平然を装う

 

彼を見ると

明らかに自分の中の女が

ここぞとばかりにしゃしゃり出る

 

その女を止められればいいけれど

きっと彼を見つめる眼差しに出ちゃっているのよね

 

そのあとなんかは

ニヤニヤしちゃって

もう大変なんだから

どうしてくれるのさ

 

思い出すたびに

またため息が出て

心が満たされていくの

 

これが恋じゃなかったら

一体なんなのかしら

 

これが好きっていう気持ちじゃなかったら

一体なんなのかしら

 

こんなに素敵な気持ち

いつまでもいつまでも

忘れないようにしないとね